LEDとは
まずは、マイコンを使ってドットマトリクスLEDを点灯させようと思います。ですが、その前にLEDについて学習しておきましょう。
LED(Light Emitting Diode)は、発光ダイオードのことです。図1-1は一般的な砲弾型LEDの例で、実習装置でも電源ランプとして使われています。
LEDはその名の通りダイオードの一種で、豆電球と違って方向性があり、電流はアノードからカソード方向にしか流れません。
図1-2はLEDの回路記号です。電流は順方向には流れますが、逆方向には流れません。ちょうど回路記号の向きが順方向になります。
LEDの特性と注意事項
図1-3のグラフは、LEDにかかる電圧と流れる電流の関係の一例です。
LEDの明るさは、流れる電流の量に依存しています。また、LEDを光らせるのに必要な電圧は明るさにかかわらず概ね同程度(多少は変動します)で、順方向電圧と呼ばれています。順方向電圧は、赤色LEDの場合は2.1V程度が標準です。必要な電圧より低い場合、電流は流れずLEDは光りません。
LEDを使う上では、いくつか注意事項があります。
発熱
LEDは電気エネルギーの全てを光にするわけではなく、白熱灯や蛍光灯よりも高効率ではあるものの電気エネルギーの少なからずが熱になります。
LEDに流す電流を増やす(LEDを明るくする)と、それだけ発熱も大きくなり、適切な対策がなされていないとLEDの劣化が早まったり焼き切れたりしてしまいます。
LEDの発熱量に注意するとともに、発熱が多い場合は放熱等の対策をしましょう。
電流制限
LEDを含むダイオードには、電流を制限する仕組みが基本的にはありません。電流を制限するための適切な抵抗を入れていないと、必要な電圧を少し上回っただけで過剰な電流が流れてLEDが焼き切れてしまいます。
LEDに流せる最大電流としては、恒常的に流せる電流と、瞬間的になら流しても良い電流とが定められています。これらの具体的な値は、各LEDのデータシートで確認します。
逆方向耐圧
LEDを含むダイオードは、通常は逆方向にはほとんど電流を流しませんが、逆方向にかかる電圧が高くなると、急激に電流を流すようになります。
ダイオードの逆方向耐圧はダイオードごとに異なりますが、LEDの逆方向耐圧は一般に低めで、データシート上ではかなり小さな値が示されています。逆方向耐圧を超える電圧がかからなように注意しましょう
熱暴走
LEDを光らせる(ダイオードに一定の電流を流す)のに必要な電圧は厳密には一定ではなく、温度が高いほど「必要な電圧」が低くなる、すなわち同じ電圧でも電流の流れる量が急激に増加する特性があります。
電流が制限されていない場合、電流の増加がさらなる発熱と電流の増加をもたらして破損に至る「熱暴走」になる可能性があります。
LEDを使う場合は、抵抗などの電流を制限する仕組みを必ず入れ、データシート上の制限内の電流で使うようにしましょう。